新型コロナウイルス対策として注目されるようになった「抗菌・抗ウイルスコーティング」(抗菌・抗ウイルスコート、光触媒コーティング等)。
コロナ禍以降、たくさんの人が使う、電車やバスの座席や手すり、ホテルの客室などさまざまなところに導入されるようになりました。
「一体どんな技術なの?」「どこまで抗菌効果が期待できるの?」
今日はそんな、抗菌・抗ウイルスコーティングにまつわるさまざまな疑問にお答えしていこうと思います。
抗菌・抗ウイルスコーティングって?
抗菌・抗ウイルスコーティングとは、抗菌・抗ウイルス作用のある液体を物体の上に噴霧・塗布することで、菌やウイルスの増殖を抑えることができる技術です。
店舗や公共の乗り物だけでなく、個人宅や自家用車内にも導入することができ、一度施工すれば数年間は抗菌・抗ウイルス効果が見込めると言われています。
●応用範囲が広く、机や手すり、エアコン、布製品…など、いろいろなものに対して施工できる
●一度施工すると数年間、効果が持続すると言われており、消毒の手間が省けて清潔が保てる
●噴霧、塗布するだけで施工できてコストパフォーマンスがいい
どんな成分が使われている?
抗菌・抗ウイルス作用のあるコーティング剤に含まれる成分は、メーカーによって異なりますが、主に「光触媒」「銀イオン」「プラチナ」の3種類が使われています。
空気中の水分や酸素と反応して「活性酸素」を発生させる性質を持っています。
活性酸素…美容や健康に関心のある方なら聞いたことがあるでしょうか。
私たちの体内で発生すると、細胞を酸化して老化や病気を引き起こす原因となるとして問題視されています。
そんな悪者のイメージの強い活性酸素ですが、一方で菌やウイルスを撃退するはたらきも持っています。
その性質を活用したのが、この抗菌・抗ウイルスコーティング技術なんですね。
ボディ用消臭スプレーの成分として有名な銀イオン(Ag +)。
抗菌・抗ウイルス効果のほか、防カビ効果もあります。
銀は古くから、食器やカトラリー類としても幅広く利用されてきましたが、昔の人たちもその抗菌効果を経験から知っていたのかもしれません。
結婚指輪に用いられるプラチナは、菌やウイルスを不活性化する作用もあります。
上の二つ、酸化チタンと銀イオンは、ウイルスを酸化させることで撃退する効果がありましたが、プラチナは逆で、ウイルスから酸素を奪うことで(還元作用)、弱らせる働きがあるのが特徴です。
抗菌・抗ウイルスコーティングの注意点
人体に害もないし、一度施工すれば数年間効果が持続すると言われる抗菌抗ウイルスコーティング。
薬剤を散布するだけなので手軽ですし、それで効果が得られるなら取り入れてみたいと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
でもいったい、どこまで抗菌抗ウイルス作用が期待できるのかは気になるところですよね。
このコーティングによって、どういう感染は防げて、どういう感染は防げないのでしょうか。
また、導入する場合は、どういうことに気を付けたらよいのでしょうか。
抗菌抗ウイルスコーティング施工が効果を上げるのは、モノを介してウイルスや細菌に感染する接触感染です。
空気中に蔓延しているウイルスや細菌に感染する空気感染や、飛沫感染には効果がありません。
あくまで、コーティングされた表面でだけ抗菌抗ウイルス効果があるということを念頭に、手洗いやうがいなどの感染症対策は怠らないようにしましょう。
接触感染に効果を見込める、とお伝えしましたが、「絶対防げる」わけではありません。
というのは、
・コーティング表面が汚れてしまった場合、効果を発揮しなくなる
・ウイルスが付着してから即時に殺菌されるわけではない
という理由からです。
抗菌性が保たれるのはコーティング加工された表面のみですから、表面に汚れがついてしまっていては抗菌性能が発揮されません。
コーティング面が汚れで覆われてしまわないように、常に掃除しておくことが必要です。
また、ウイルスがコーティング面に付着してから殺菌されるまでには少し時間が必要です。
殺菌される間もなく他の人が触れてしまった場合、感染を防げないケースがあります。
コーティングを施した表面に物理的な衝撃や摩擦が加わると、コーティングが剥がれてしまい抗菌効果が機能しなくなることがあります。
常に人の手や物が触れる場所など、コーティング面が常に摩擦にさらされているような場合、耐用年数が基準より短くなることも想定したほうがよいでしょう。
抗菌・抗ウイルスコーティングを業者に依頼する場合
さて、業者に施工を依頼する場合、気になる施工費用はどれぐらいなのでしょうか?
調べてみたところ、業者によって使用する機材や薬剤にも違いがあり、幅があるという印象です。
格安価格帯で20㎡(約12畳)で2万円前後、50㎡(約30畳)で5万円前後といったところでしょうか。
キッチンや浴室、トイレなどスポットでのコーティングの場合は1万円台から施工してくれる業者も多いようです。
車両への施工の場合、軽自動車や普通車なら1万円台から、バンや小型バスであれば2、3万円程度が相場のようです。
施工してもらいたい場所の広さや、自身のニーズに合わせて業者を選びましょう。
自治体によっては抗菌抗ウイルスコーティング施工に対する補助金を交付している場合もあるので、店舗等で導入を考えている方はチェックしてみてください。
コーティング作業はシンプルで、液体状のコーティング剤を機材を使って噴霧して物体面に塗布していきます。
業者によって、使う噴霧器は電動式のジェット噴射タイプや、柄のついたタイプなどいろいろです。
コーティング剤はおおむね無色透明で、施工前と施工後で目に見える違いはありません。
噴霧した後は、しばらく時間をおいて定着させれば、作業完了です。
抗菌抗ウイルスコーティング施工を提供している業者にはさまざまな業種があります。
例)ビルメンテナンス業者、ハウスクリーニング業者、カーメンテナンス業者
サービスの名称もその業者によりけりで、「抗菌抗ウイルスコーティング」と検索しても見つからない場合があるので注意です。
例)「抗菌抗ウイルス除菌サービス」「光触媒コーティング」など
また、他サービスのオプションとして抗菌抗ウイルスコーティングも用意しているケースもあります。
例)エアコンクリーニング+エアコンの内部パーツの抗菌抗ウイルスコーティング
いつも依頼している業者がある方は、抗菌抗ウイルスコーティングにも対応しているかどうか聞いてみるとよいでしょう。
抗菌抗ウイルスコーティング、自分でもできる?
業者に依頼する場合の相場感や作業方法を見てきました。
「作業自体はシンプルなわりに高額…コーティング剤を買って自分で作業することはできないの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
自分でDIYできるかどうか、答えは「可能」です。
抗菌抗ウイルスコーティング剤はいろいろなメーカーから発売されており、業務用の大容量のものもあれば、スプレータイプで手軽に噴霧できるものもあります。
参考:おすすめの光触媒コーティングスプレー7選!選び方のポイントや光触媒コーティングの基礎知識も解説
「ドアノブだけとか、手すりだけ…」「ワンルームの室内に…」など、狭い範囲のみの施工なら、自分で作業するのもありでしょう。
ですが、天井や壁までくまなく施工しようと思うと結構大変ですし、コーティング剤も大量に必要になります。
一軒家まるごととか、施設や店舗などの大部屋をしっかりコーティングしたい…という場合は、業者の力を借りる方がスムーズかもしれません。
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まとめ
新型コロナウイルスの流行以来、ウイルスや菌に対してセンシティブになっている方が多いと思います。
これからもまだ未知のウイルスがどこかからやってくるかもしれない…そんな漠然とした不安が頭のどこかにある方もいらっしゃるかもしれません。
ウイルスや菌は目に見えないだけに、不安を増大させるもの。
そんな時は抗菌抗ウイルスコーティング施工で、安心感を担保してみるのもいいかもしれません。
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